はじめに
人生で困難を経験しない人はいません。けれども同じ逆境に直面しても、崩れてしまう人もいれば、再び立ち上がる人もいます。この違いを生むのがレジリエンス(resilience、回復力)です。レジリエンスは生まれつきのものではなく、学び育てることのできる力であり、誰でもトレーニングによって強めることができます。
大切なポイント
レジリエンスとは
レジリエンスは「逆境から素早く回復する力」にとどまらず、逆境を通して成長することまで含みます。単に元の状態に戻るのではなく、より強くなることです。心理学ではこれを「心的外傷後成長(Post-Traumatic Growth)」とも呼びます。
レジリエンスの核となる要素
自己効力感(自分はできるという信念)、感情を調整する力、社会的なサポートネットワーク、楽観性(現実的な楽観)、意味を見いだす力(苦しみの中でも意味を見つける力)、柔軟な考え方が、レジリエンスの中心的な構成要素です。中でも社会的サポートは、最も強力な保護要因として知られています。
レジリエンスを育てる方法
成長マインドセットを育てましょう。「自分はもともとこうだから」ではなく「まだ学んでいる途中」と考え方を切り替えます。小さな挑戦を通して成功体験を積み重ね、失敗を学びの機会としてとらえ直しましょう。人とのつながりを強め、セルフケアの習慣を続けてください。
研究による裏づけ
ボナーノ(Bonanno)の研究によると、トラウマを経験した後も大半の人(65〜70%)は自然に回復していく「レジリエンスの軌跡」を示します(Psychological Science, 2004)。米陸軍の大規模なレジリエンスプログラム(CSF2)は、PTSDの発症率を下げるのに効果がありました。感謝の実践やマインドフルネス瞑想が、レジリエンスを有意に高めることもわかっています。
実践のヒント
- 毎日「今日乗り越えた小さなこと」をひとつ記録しましょう。
- 失敗したときは「ここから何を学べるだろう?」と問いかけてみましょう。
- つらいときに助けを求められる人を3人、リストにしておきましょう。
- 規則的な運動、睡眠、瞑想で基礎体力を保ちましょう。
- 過去に困難を乗り越えた経験を思い出し、「自分ならやれる」と思い出しましょう。
日常での取り入れ方
計画どおりにいかないときは、「柔軟に対応しよう」と自分に声をかけてみましょう。嫌なことが起きたときに「これは1年後も大事なことだろうか?」と自問すると、視野が広がります。毎日小さな不快さ(冷たいシャワー、新しいことへの挑戦)に耐える練習が、レジリエンスを強くします。
気をつけたいこと
- レジリエンスとは「ひとりで全部耐えなければならない」という意味ではありません。助けを求めることもレジリエンスです。
- すべての苦しみに意味を見いださなければというプレッシャーは、かえって害になることがあります。ときには、ただ痛がってもいいのです。
- 慢性的なストレス状況では、個人のレジリエンスだけでは限界があります。
こころからのひとこと
転ぶのはあなたのせいではありません。でも、もう一度立ち上がるのはあなたの選択です。そしてあなたは、もう数えきれないほど立ち上がってきた人です。こころは、あなたの立ち上がる力を信じています。