こんなことはありませんか?
桜が咲いて街は明るくなったのに、毎朝体が重く、理由もなく気分が沈んでしまう。SNSには新年度、新しい職場、新しい習い事でキラキラしている人があふれていて、自分だけが冬に取り残されたように感じることがあるかもしれません。「春なのに、どうして私はこうなんだろう」という思いが、だるさにさらに重さを加えることもあります。
何が起きているのでしょう
春のだるさは、思っているよりずっとよくあることです。いわゆる春バテや「春眠暁を覚えず」と言われる眠気は、日が長くなり気温が上がる中で、体が新しいリズムに慣れようとする過程で起こることがあります。光の量が変わると、眠りと目覚めを整える**体内時計(概日リズム)**も調整し直す必要があり、その間は眠気や集中しにくさを感じやすくなります。大きな寒暖差や花粉も、知らず知らずのうちに体を疲れさせます。
季節による気分の変化というと冬を思い浮かべがちですが、春から夏にかけて気分が落ちやすい人もいることは、メンタルヘルスの分野でも知られています。季節の変わり目そのものが、心と体にとって小さなストレスになりえます。
生活リズムの変化も大きな要因です。入学、就職、異動、引っ越しなど、日本の春は環境が一度に変わる季節。いわゆる五月病という言葉があるように、慣れたリズムが崩れると、それだけで多くのエネルギーを使います。
そして社会的比較。「春=新しいスタート」という空気の中で、他人の活気と自分の状態を比べると、疲れが「自分は出遅れている」という思いに変わりやすくなります。他人のいちばん良い瞬間と自分のふつうの一日を比べることは、気分をさらに下げることがあると心理学では考えられています。無気力は怠けではなく、変化に適応しようとがんばっているサインかもしれません。
今日からできること
1. 朝の光を10分浴びてみましょう
起きてから早めの時間に外の光を浴びると、体内時計が新しい季節に合いやすくなるといわれます。一駅手前で降りて歩く、ベランダでお茶を飲む、それだけでも十分です。
2. まず寝る時間と起きる時間をそろえましょう
日が長くなると、つい寝る時間が遅くなりがちです。休日も起きる時間を大きく変えないようにすると、体が混乱しにくくなります。昼寝は20分以内の短いものがおすすめです。
3. 「新しいスタート」を小さくしましょう
春だからといって大きな目標を立てる必要はありません。「毎日運動」より「昼食後に近所をひと回り」くらいから始めてみましょう。小さな成功の積み重ねが、少しずつエネルギーを取り戻してくれます。花だって、咲く日はそれぞれ違います。
4. 比較の窓をしばらく閉じてみましょう
SNSを見たあとに気分が沈むなら、数日だけでも利用時間を減らしたり、特定のアカウントをミュートしたりしてみましょう。代わりに「今日できたこと」を3つ書き出すと、他人ではなく自分のペースに目を向けられます。
5. 軽く体を動かし、きちんと食べましょう
軽いストレッチや散歩は、体に「そろそろ目覚める時間だよ」という合図を送ってくれます。食事を抜かず、旬の野菜や水分をしっかりとることで、だるさが少し和らぐこともあります。
こんなときは助けを求めてください
落ち込んだ気分が2週間以上続く、睡眠や食欲が大きく変わった、通勤・通学など日常生活が難しいほど無気力だという場合は、ひとりで抱え込まないでください。心療内科・精神科、カウンセラーなどの専門家、地域の保健所や地域の心の相談窓口に相談してみましょう。危険を感じるほどつらいときは、すぐに地域の緊急番号や相談窓口に連絡してください。
春がいつもより重たく感じる日は、こころに話しかけてください。あなたのペースで春を迎えられるよう、そばで話を聴きます。